
この10年で雛人形はどう変わったか|掲載データで見る変化
この記事は2016年に公開したものを、2026年9月に全面的に見直したものです。「これから雛人形はこう変わっていくのではないか」という当時の見立ては当たっていたのか。工房ひな雛の掲載品のデータで、答え合わせをしてみます。
この記事でわかること
- 2016年に立てた3つの見立て
- 小さくなったのは幅ではなく奥行きだったこと
- お顔が「選ぶもの」になったこと
- 10年で変わらなかったこと
- いま工房で増えているご相談
2016年に、私たちはこう書いていました
当時この記事で挙げた人気の傾向は、次の3つでした。
- サイズは従来より小さめが好まれる
- お顔は現代的で可愛らしいものが重視される
- オリジナリティが求められる
10年前は、店頭で伺うお声からの実感でした。いまは自社の掲載品を数えることで、実際にどうなったかを確かめられます。
① 小さくなったか ― 変わったのは幅ではなく奥行きでした
小型化は起きました。ただし、その中身は当時の想像と少し違いました。
工房ひな雛の飾り台と屏風の寸法を532点分集計すると、もっとも多いのは幅45cm × 奥行28cm × 高さ24cm。幅は35〜55cmの範囲に収まります。つまり、幅はそれほどばらつきません。
工房ひな雛では親王飾りから五人飾りまで飾り台が共通で、置き場所は変わりません。奥行きと高さが広がるのは十人飾り以上です。十人飾りで奥行45cm前後、十五人飾りで奥行62cm前後。置けるかどうかを決めているのは、幅ではなく奥行きでした。詳しくはコンパクトな雛人形の選び方でご説明しています。
背景には住まいの変化があります。令和5年(2023年)住宅・土地統計調査では、共同住宅の1住宅あたり延べ面積は50.31㎡、一戸建は126.32㎡。住宅全体の44.9%が共同住宅です。床に段を組むのではなく、棚やチェストの上に置く。そうなると効いてくるのは奥行きです。
実際、2025年1月の調査(いこーよファミリーラボ、n=325)では、飾っている雛人形は小型の一段飾りが66.43%、壁掛け・卓上型が16.78%、三〜五段が13.99%、七段飾りは0%という結果でした。10年前に「小さめが人気」と書いた傾向は、そのまま定着したといえます。
② お顔は変わったか ― 「選ぶもの」になりました
当時は「ふっくらとした現代的なお顔が好まれる」と書きました。実際に起きたのは、好まれるお顔が変わったというより、お顔が選べるものになったことでした。
工房ひな雛では現在、親王のお顔を12種ご用意しています。三人官女や五人囃子のお顔もお選びいただけます。「人気のお顔がひとつある」のではなく、ご家族がそれぞれのお顔を選ぶ。この10年で起きたのはその変化です。
お顔の違いについては雛人形のお顔の選び方をご覧ください。
③ オリジナリティは ― 組み合わせが当たり前になりました
10年前は「人と違うものを」というご要望が出はじめた頃でした。いまは、組み合わせて選ぶことが前提になっています。
| 掲載している品目 | 点数 |
|---|---|
| 雛人形セット | 401点 |
| 親王単体 | 157点 |
| 飾り台 | 73点 |
| 屏風 | 56点 |
| 小物・お道具 | 39点 |
| お花 | 29点 |
| 三人官女 | 26点 |
| 雪洞・燭台 | 22点 |
| 五人囃子・随身・仕丁 | 17点 |
飾り台と屏風の仕上げは14種類。栓・木曽檜・タモ・オーク・拭き漆・白木といった木目のものと、一閑塗・黒塗・赤塗・白塗・溜塗・本漆・会津塗といった塗りのものがあります。
セットをそのまま選ぶのではなく、人形・飾り台・屏風・お花・小物をひとつずつ選ぶ。10年前は特別だったこの選び方が、いまはセミオーダーとして標準になりました。
10年で変わらなかったこと
変わらなかったものもあります。
ひとつは価格帯です。掲載401点の価格分布を見ると、10万円以上20万円未満に328点、全体の約82%が集まります。小さくなっても、一体ずつ手で仕上げる工程は変わらないためです。価格の内訳は雛人形の価格相場と予算の決め方でご説明しています。
もうひとつは雛人形が身代わりであることです。大きさも飾り方も変わりましたが、子どもの災いを引き受けるものとして飾るという意味は変わっていません。流し雛とはでその由来をご説明しています。
いま工房で増えているご相談
この10年で、店頭やお問い合わせで伺う内容も変わりました。最近とくに増えたのがしまう場所のご相談です。
飾る場所は決まったけれど、一年の大半を過ごす箱の置き場所が思いつかない。工房ひな雛の梱包箱を360点分集計すると、もっとも多いのは53×37×28cmで295点。この箱は配送用の段ボールで、そのまま収納にお使いいただけますが、緩衝材を入れる関係で高さに余裕があることが多くあります。押し入れの上段やクローゼットの棚に収まる大きさです。買う前にしまう場所を測っておくと、あとで困りません。
よくある質問
小さい雛人形は簡略版ということですか?
違います。小さくても、桐塑の成形から胡粉塗り、筋彫り、木目込み、お顔の仕上げまでの工程は同じです。むしろ小さいほうが細部の仕上げは難しくなります。
段飾りはもう売れていないのですか?
数は減りましたが、なくなってはいません。工房ひな雛でも十五人・段飾りをご用意しています。憧れていた段飾りを選ばれる方もいらっしゃいます。
10年前に買った雛人形も修理できますか?
工房ひな雛でお求めいただいた品であれば、修理やお顔の交換のご相談を承っております。アフターサポートをご覧ください。
これから買うなら、どの大きさを選べばいいですか?
まず飾る場所の奥行きを測ってください。幅はどの構成でも45cm前後に収まることが多く、置けるかどうかを決めるのは奥行きです。雛人形の選び方完全ガイドに採寸のコツをまとめています。
まとめ
10年前の3つの見立ては、おおむね当たっていました。ただ「小さくなった」の中身は、幅ではなく奥行きだったこと、「かわいいお顔が人気」ではなく、お顔が選べるようになったこと。この2点は、数えてみて初めて分かったことです。価格帯と、身代わりという意味は変わっていません。
いまの雛人形選びで押さえたい数字
- もっとも多い飾り台の寸法:幅45×奥行28×高さ24cm
- 置けるかを決めるのは幅ではなく奥行き
- 掲載品の約82%が10万円以上20万円未満
- 梱包箱の最多サイズ:53×37×28cm
- 親王のお顔は12種、飾り台・屏風の仕上げは14種
数値はいずれも工房ひな雛の掲載品の集計(2026年9月時点)。住宅の面積・共同住宅比率は住宅・土地統計調査、飾っている雛人形の種類はいこーよファミリーラボの調査(2025年1月、n=325)によります。
工房ひな雛は、埼玉県さいたま市の木目込み雛人形の専門工房です。人形・飾り台・屏風・雪洞・お花・小物まで、すべて自社で製作しております。
五月人形は姉妹ブランド 工房真 で承っております。


