雛人形の由来

災がふりかかりませんように。
美しくてよい結婚に恵まれ、人生の幸福を得られますように。

三月三日のひな祭りは、正しくは上巳(じょうし、じょうみ)の節句といいます。三月の初めの巳の日という意味ですが、のち三日に定まり、また、ちょうど桃の季節なので、今では桃の節句という美しい名で親しまれています。

人形(ひとがた)、あるいは形代(かたしろ)と呼ぶ草木あるいは紙やわらで作った素朴な人形に、自分の災厄を移して海や川に流した祓いの行事と、平安時代に始まるお人形遊び(ひいな遊び)とが、長い間に結びついたのが、現在の「ひな祭り」です。

雛人形には、生まれた子どもがすこやかで優しい女性に育つようにとの親の願いが込められています。ひな人形をその子の形代と考えて、どうぞ災いがふりかりませんように、また、美しく成長してよい結婚に恵まれ、人生の幸福を得られますようにという、あたたかい思いを込めて飾ります。

時代は変わり、技術はどんどん発展しますが、決して変わらないものもあります。
お子さまの幸せを願う想い。ご家族とのかけがえのない時間。
古来からの想いと伝統を大事にしつつも、現代のお客様へ求められる製品を。
変わらぬ想いと伝統を紡ぎながら、昇華していくことが、現代に生きる工房ひな雛の職人の役割です。